『Matrox Monarch EDGE』で“テレポーテーション”のようなライブ配信を実現

 

数千キロ離れた人と人を瞬時に同一空間に配置して隣り合わせの対談をライブ配信する…まさに“テレポーテーション”。サイエンスフィクションのような話だが、オンエアーグラフィックスシステムのリーディングカンパニーであるVizrtは、同社の最新情報を提供している『VizrTV』というオンライン情報配信番組で、定期的に行っている。それを実現する鍵となる技術が、Matrox社のハードウェアエンコーダー及びデコーダー『Monarch EDGE』である。

 

今回は『Monarch EDGE』とVizrtのバーチャルスタジオシステムを組み合わせて使用し、同社のノルウェーにいるChris Black氏(Vizrt社・コンテンツチームの責任者)とその他のゲストを瞬時にオーストリアのGerhard Lang氏(Vizrt社・最高技術責任者)がいるスタジオへ招集し、まさに“テレポーテーション”さながらの対談ライブ配信を実現した。『Monarch EDGE』は、番組内容に合わせて、リモートでもクラウドベースでもシームレスに製作が可能であり、Vizrtの放送品質のエンコードおよびデコードデバイスとして、低遅延でリアルな仮想インタビューの提供が可能であることを実証した。

 

COVID-19の影響で、世界中の放送局がスタジオへ戻ることができず、各自が自宅からニュースを報告しなければいけない状況が続いている。これはVizrt社内でも同じ状況であり、旅行制限による社内コミュニケーションの停滞に対する対策が必要であった。そのための手段として始まったのが『VizrTV』であり、同社のグローバル30拠点にいる700人の社員を刺激させ団結させるのに役立っている。

 

Gerhard Lang氏(Vizrt社・最高技術責任者)は、この技術の紹介の際に、単なる説明に終始するプレゼンテーションではなく、実際に“テレポーテーション”を実演することで、どれほどリアルなライブレポートが可能かを実証した。「Zoom形式のインタビューが普及してきていますが、私たちの技術を使用すれば、よりリアルな対談のライブ配信を実現できます。実際にやってみせることでお客様を刺激したかったのです。距離の離れた人と人との対談を違和感なく、リアルに、一つの空間に配置し、配信するにはどうすればいいか?そしてそれを実現する答えが4:2:2 10bitに対応する『Monarch EDGE』エンコーダー及びデコーダーです」

 

Monarch EDGEエンコーダーとデコーダーは、物理的な距離に関係なく、複数の別々の場所にいる人と人を、あたかも同一空間にいるように、シームレスなインタビューを実現する高性能なソリューションに対するVizrtの全ての用件を満たしている。VizrTVにおける「場所」とはVizrtのViz Engine 4.1で合成し、リアルタイム3Dレンダリングとビデオ再生プラットフォームによって精巧にレンダリングされた仮想スタジオのことを示す。この仮想スタジオを実現するには完璧なグリーンスクリーン構成に変換可能な4:2:2 10ビット H.264ストリームを配信できるツールが必要であり、それが『Monarch EDGE』というわけである。またエンコーダー及びデコーダーがSRTに対応していることで、パブリックインターネットを介して、超低遅延のビデオ転送を可能とするため、視聴者はスムーズでリアルな視聴体験が可能である。

 

今回の1対1のライブ対談配信では、ノルウェー及びオーストリアのそれぞれのスタジオにカメラを配置。Monarch EDGEエンコーダーはノルウェーに、そしてデコーダーはオーストリアに配置した。ノルウェーでは、HDライブ映像と音声をMonarch EDGEエンコーダーがSDIで受けて、それを6MbpsでエンコードしSRTで送信。配信待ち時間も気にならない自然な会話が可能である。オーストリアにあるMonarch EDGEデコーダーは、ノルウェーからのSRTを受信し、音声付きHD-SDI信号をViz Engine4.1に出力。またスタジオのカメラ音声付き映像信号をViz Engine4.1に出力し、これで最終的にVizVectarスイッチングシステムに配信するための準備が完了。このシステムは、クリップ間のカット、Vimeo、Facebook Live、LinkedInへのライブ及びエンコードされたプログラム配信などに加えて、ノルウェーのBlack氏へプログラム進行確認目的のプロキシフィードバックも提供する。なお、Monarch EDGEのエンコーダー及びデコーダーには、ユーザーが使用可能な双方向アナログ回路が実装されている。(しかし今回は、Black氏とLang氏は、ライブ配信中のコミュニケーションのためのオーディオ通信にMicrosoft Teamsを利用した。)

 

3箇所以上で行うリモートプロダクションにおいても、各所にMonarch EDGE エンコーダーを配置し、同様の構成をすれば可能。Monarch EDGE デコーダーは1台で最大4つのストリームに対応。実際に、3人が参加するVizrTV制作の例では、Vizrt Groupのグローバル研究開発部門の社長であるAndrew Cross氏が、米国のサンアントニオからLang氏とBlack氏の対談ライブ中の画面に飛び入り参加。この時、米国のスタジオにあるMonarch EDGエンコーダーは、同スタジオ内のカメラ映像を受けてエンコードし、オーストリアのMonarch EDGEデコーダーに転送するとともに、またこれとは別のMonarch EDGEエンコーダーからのフィードをデコードするためにも使用された。その結果、Viz Engine4.1によってレンダリングされたリアルな仮想スタジオに3人が並んで表示された。参加者は世界中の3つの別々の都市にいるにもかかわらず、VizrTVは現実的なライブインタビューを提供することを実証してみせた。

 

Monarch EDGEエンコーダーとデコーダーのペアが複数の4:2:2 10bitビデオフィードをエンコードし、SRTを使用して超低遅延でパブリックインターネット経由にて転送する機能により、VizrtはVizrTVの現実的な仮想スタジオ設定を簡単に作成することが可能。複数人がそれぞれ別々の場所からリアルタイムで瞬時に集まることができる。

 

「私たちは、最終結果が視聴者にとってシームレスな視聴体験になることを望んでいました。視聴者に「これは素晴らしいテクノロジーです」と言わせたくなかったのです。代わりに、視聴者がコンテンツに集中できるように、リモートプロダクションであることに気が付かないほど自然なやり取りの実現を探求しました。Monarch EDGEエンコーダーとデコーダーがなければ、それを達成することはできませんでした」とLang氏。

 

Lang氏は、VizrtはMonarch EDGEを今後のVizrTVに活用していく方針であるとして「私たちは、このダイナミックな組み合わせで、他に何ができるかを工夫していきたいと思います。将来のVizrTVエピソードなどで、独自のソリューションと一緒にMonarch EDGEデバイスを使用できることを楽しみにしています」と語った。

 

About Monarch EDGE
『Monarch EDGE』は最新の配信環境に最適化された4K/マルチHD配信及びリモートプロダクション向けエンコーダーです。H.264エンコーダーは汎用性が高く、様々な環境に対応することができ、異なる機器間における相互運用の安定性という点で、最良の選択肢であるといえます。4Kの映像配信やマルチカメラ配信、リモートプロダクションなど、多くの用途で活用できます。

 

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