ナレーター(東京)/ディレクター(大阪)のナレーション収録や、二拠点間でのポスプロ本編編集の共同作業に加えて、将来的には、ライブクラウドシステムを使用した外部クリエイターとの共同制作や全国47都道府県の各拠点の芸人さんと社員、現地ディレクターやクリエイターとの共同作業を行う為の端末として活用することを目指しています。
 


 
株式会社よしもとブロードエンタテインメント 技術部は(以下、「よしもと」)、Matrox社の『Monarch EDGE S1』を採用し、遠隔地でのナレーション収録や二拠点間の共同編集作業を実現しました。『Monarch EDGE S1』はSRT対応デバイスです。エンコードとデコードを同時に処理できる上、CUEランプ(タリー)とインカムにも対応します。現在よしもとでは、『Monarch EDGE S1』を東京と大阪に設置。社内VPN回線を使用し、東京-大阪間のインカム/CUEランプ(タリー)/映像音声を活用したナレーション収録を行っています。その方法や『Monarch EDGE』を採用した背景について、同社チーフプロデューサー 直田 輝彦様にお伺いしました。

 

ご採用のモデルとその決め手について教えて下さい。

他社品も試しましたが、エンコードとデコードを同時に処理可能な一体型で、タリーランプとインカム機能があるのは『Monarch EDGE S1』だけであったため採用を決めました。一体型ですので導入コストを抑えられました。また、使用して実感したメリットは、当たり前ですがテレビ会議アプリとは比較にならないほど遅延を感じないので、大阪にいるディレクターと東京にいるナレーター芸人さんのコミュニケーションが円滑に行えた点です。あと、音声回線は上りモノラル2回線・下りモノラルの2回線があるので、制作連絡線4Wと技術連絡線4Wが別々につくれた点です。

 

具体的にどのようにご使用されていますか?

① まず、「東京にナレーター/大阪にディレクターを配置したナレーション録音です。遅延を感じない音声回線にSRTを使用した低遅延映像のSDI送受信機能、およびタリー機能をCUEランプ回線として使用」します。
メリットは大阪-東京間の芸人さんや制作スタッフの移動費の削減。あと、東京の人気芸人さんや声優さんのナレーションを大阪の番組でも採用できるので、映像制作の幅が広がること。大阪の師匠のナレーションを東京の番組でも採用しやすくなります。アニメのアテレコ収録の可能性も検討しています。

 
② 次に、「東京ポスプロと大阪ポスプロの共同編集作業」です。例えば、エディターは大阪、テロップデザイナーは東京から大阪の端末にアクセスして参加し、大阪の番組の本編編集作業を共同で行います。VPNが繋がっている同じ会社間だけでなく、将来的にはフォトロン社のライブクラウドサービス (https://www.photron-digix.jp/product/photron_live_cloud_service/)を利用してインターネット経由で外部協力プロダクションやエリア(地方)在住クリエイターに映像を送り、番組本編作業に参加してもらうことを考えています。地方のアーティストさんに活躍していただくことで雇用を生み、地方創生につながることを目標としています。

 
③ そして、「YouTube、Vimeo などのライブストリーミング機能を使用した遠隔地への納品前プレビュー」です。こちらはRTMPプロトコルなので数秒遅延はありますが、一時停止や少し巻き戻して確認できるので忙しいプロデューサーやディレクターからも好評です。

 
④ 最後に大阪ポスプロ-東京ポスプロ間の技術スキルアップ講習での利用を検討しています。

 

今後のご使用についてご計画があれば教えて下さい。

東京と大阪の業務の効率化と外部プロダクションとの更なる連帯だけでなく、よしもとが進めている地方創生につながるようなエリアに住むクリエイターとの連帯を目指しています。また、2025年に大阪万博、2029年(予定)にはIR事業が開始されるので、このシステムを様々なコンテンツ作りに活用していきたいと考えております。

 

 

 

Matrox Monarch EDGEついて

『Monarch EDGE』は最新の配信環境に最適化された4K/マルチHD配信及びリモートプロダクション向けエンコーダーです。H.264エンコーダーは汎用性が高く、様々な環境に対応することができ、異なる機器間における相互運用の安定性という点で、最良の選択肢であるといえます。4Kの映像配信やマルチカメラ配信、リモートプロダクションなど、多くの用途でご活用いただけます。

 

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