インドに拠点を置く放送・メディア制作会社 KPS Studiosは、スポーツライブ中継に強みを持ち、特にインド国内のフットボールやクリケットの中継実績があります。同社は、新しいワークフローの中核としてエンコーダー／デコーダー『Matrox Monarch EDGEシリーズ』を採用しました。 

 

広大かつ多様なインドにおいて、ライブ制作会社は大きな物流的課題に直面しており、会場間の移動や現地インフラの確保など、従来のOutside Broadcast (OB)モデルは高コストで時間もかかります。KPS Studiosは、これらの課題を解決できるソリューションを必要としていました。

 

各フットボールの試合では、フィールド全体に配置された8台のカメラを使用して中継します。12名のチームが各地に派遣され、8名のカメラオペレーターと、カメラ設営、マイク配置、タリー、トークバック、リモートプロダクションのエンコーディングおよび伝送の設定を担当するスタッフで構成されています。

その他すべての制作作業―ビデオスイッチング、グラフィックス、音声ミキシング、リプレイ、最終的な放送素材の作成―はKPS Studiosのコルカタ本社からリモートで行われます。

 

同時進行の制作を支えるため、KPS Studiosは施設内に3つの専用Master Control Room（MCR）を構築しました。この体制により、異なる会場からの試合を最大3つまで同時に制作でき、すべての統制と管理を社内で集中して行うことが可能です。このハイブリッドな展開モデルは、効率を最大化するだけでなく、すべてのイベントにおいて一貫した制作品質を保証します。

 

そして1試合あたりの設営時間はわずか4時間。従来のOBワークフローと比べて大幅に短縮されました。現地クルーは、このわずかな設営時間で、8台のカメラ設置、音響設備の構築、『Monarch EDGE』エンコーダーの設定をおこないました。これらには、コルカタ本社への専用IPリンクの確立、タリーやトークバックシステムの統合、イベント開始前のフルシステムチェックも含まれています。

 

『Monarch EDGE』が選ばれた理由

KPS Studiosが重視した基準は、映像品質・使いやすさ・通信機能・信頼性です。『Monarch EDGE』はこれらすべてを満たしました。

 

タリーとトークバック
タリー機能により、カメラオペレーターは自分の映像が「プレビュー（緑）」か「オンエア（赤）」かを即時に把握可能。
トークバックでMCRと現場が双方向で即時連絡でき、ディレクターが構図変更やショット指示をリアルタイムに送出。

 

高品質映像伝送
帯域制約下でも視覚的にロスレスな映像を提供。観客の感情や熱気を損なうことなく届けることが可能。

 

直感的なWeb UI
現地と本社双方からシンプルに設定・監視・トラブルシュートが可能で、特別な訓練は不要。

 

 

『Monarch EDGE』導入の成果

『Monarch EDGE』導入後、KPS Studiosは以下を実現しました。

 

・運用コスト35％削減（移動・宿泊・機材輸送を含む）

・1日最大3試合の同時制作で収益機会を拡大

・制作品質の一貫性を中央制御で確保

・設営時間の短縮により、迅速かつ柔軟な運用が可能

 
従来の高コストで大掛かりなOB体制は、『Monarch EDEG』の導入により迅速・効率的・拡張性のある新モデルへと変貌しました。 
 
KPS Studios CEOのリシア・メヘラ氏は、「Matrox Monarch EDGEは、当社のリモートプロダクション戦略の中核です――そして、これは始まりに過ぎません。」と語っています。

今後の展望

フットボール中継で成功を収めたKPS Studiosは、今後スポーツやエンターテインメント分野全般への拡大を計画しています。『Monarch EDGE』の柔軟性と拡張性により、需要増にもコストを抑えて対応可能です。

 

2025年8月からは SMPTE ST 2110 ワークフロー を導入し、さらなるインフラ近代化とシステム間相互運用性を強化予定。また、フル4K制作にも取り組み、伝統的・デジタル双方のプラットフォームで高精細映像を提供していきます。

 

『Matrox Monarch EDGE』は、インドのライブプロダクションの姿を一試合ごとに変革しています。

 

 

 

Matrox Monarch EDGEシリーズについて

『Monarch EDGEシリーズ』は最新の配信環境に最適化された4K/マルチHD配信及びリモートプロダクション向けエンコーダーです。H.264エンコーダーは汎用性が高く、様々な環境に対応することができ、異なる機器間における相互運用の安定性という点で、最良の選択肢であるといえます。4Kの映像配信やマルチカメラ配信、リモートプロダクションなど、多くの用途でご活用いただけます。

 

製品の情報はこちら：Matrox Monarch EDGEシリーズ

Matrox製品の事例一覧はこちら：Matrox事例一覧